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田中たかあきブログ

当たり前のことや基本をしっかりやることを大切にしてます。

ホッブズの倫理学

『リヴァイアサン』の中でホッブズは、善悪とは本人の欲望の対象が何かによって決まる、と言っています。

ホッブズは、本人が欲するものが善いものであり、本人が嫌悪する対象が悪いものである、と言っています。

 

それゆえ彼は、何が善いもので、何が悪いものか、ということは、人によって違う、という考え方をしています。

実際、ホッブズは次のように言ってます。

「善、悪、(・・・)といった言葉は、常にそれを使う人間との関連で使われるものであり、単純に、そして絶対にそうだというものはありえない。」ホッブズ『リヴァイアサン』(第1部第6章)

 

それゆえ、ホッブズの考えでは、「善い」とか「悪い」という概念は、それを使う人間がどんな好みや欲望や趣味を持っていて、どんなものを嫌っているのか、ということと一体のものです。

その人がどんな人間なのかによって、それがその人にとって善いのか悪いのか決まる、ということですね。

 

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ホッブズの倫理学は観点の違いにつながる

なので、ホッブズの考えでは、「善い」と「悪い」という表現は、「~にとって善い」とか「~にとって悪い」という文法になるはずです。

 

どんな人間の視点から善いのか、どんな人間の観点から見て悪いのか、ということです。

だから、ホッブズの倫理学は、観点の違いにつながるのですね。

 

その人がどんな欲望をもつか、ということが、すなわち観点の違いだと言うことができます。

その人の好み、趣味、欲望=見方、視点、観点、というわけです。

 

私が尊敬している、ドイツの数学者ライプニッツも、欲望によって、世界の見方が変わると言っています。

というか、私はこのライプニッツの考えにかなり影響されてます。

 

・・・話がずれました。

ホッブズの話に元に戻します。

ホッブズは、善悪を個人の欲望、という切り口で考えていることと、善悪というものを、1人1人の立場と不可分な形で考えてるということです。

 

ちなみに、ホッブズの考え方は、倫理学の世界では直観主義という立場と関係しているらしいです。

直観主義とは、何が善いかは直観でわかる、という立場です。

 

ホッブズについていけないところ

 ホッブズに賛成できないところの1つは、彼の人間観です。

ホッブズは、『リヴァイアサン』の中で、人間には純粋な意味での利他心(善意、他人を思いやる心)などない、という考えをしています。

人間とは利己的な存在だ、というのがホッブズの特徴です。

 

私は、「そうかなあ」とどうにも納得できないのですが。

ただし、「純粋な意味での」ということらしいですから、私がホッブズの言いたいことをよく理解してない可能性も大ですが。

 

ホッブズからすれば、他人へ親切にするのも、自分がそれで満ち足りた気持ちになれるから、という利己心によるものだ、と考えるのでしょうか。

一見他人のために行動するものも、根本的には利己的な動機、ということなのでしょうか。

私は、そうじゃない気がするのですけど。

 

とにかく、ホッブズの特徴の1つは、人間は利己的なものだ、という人間観です。

 

道徳に関するホッブズの思想

 ホッブズは、道徳(理性が命じる方、自然法)は、それ自体では強制力を持たないから、国家による実定法とか、制度によって強制される必要がある、といっています。

 

また、私たちが従うべき具体的な道徳とか義務は、社会契約に基づいて決められた主権者が決める、という意味で、約束事に過ぎない、とホッブズは考えます。

 

さらに彼は、自己保存を1番に考える利己的な人々が、自然状態と言われる状態で、国家が存在しない状態の中で、それぞれ勝手に生きている場合、常に「万人の万人に対する戦争状態」になってしまう、と言います。

 

なぜなら、自然状態では強制力がないからです。

というのも、国家権力がないからです。

 

みんなが「うおー!自由だー!」とか「ヒヤッホー」みたいな感じになると、秩序がなくなって大変だ、ということですね。

 

道徳はそれ自体では強制力を持たない。

だから、国家権力が必要だ、ということですね。

 

国家とか権力とか、すごく難しそうなキーワードと倫理は関係してくるようですね。

 

まとめ

ホッブズの倫理学

・善悪は本人の欲望の対象や嫌悪する対象によって決まる。

・善悪は個人との関連で使われる。

・人間はみんな利己的。

・道徳それ自体には人々を強制する力がない。

。国家権力が必要。

 

参考文献: ホッブズ『リヴァイアサン』、岩波書店