田中たかあきブログ

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自由とは何か(ハイエクの場合)

自由とは何か。

今回は、ハイエクが定義する自由について紹介します。

 

自由の定義

 自由とはどういうことか、この問いに対するハイエクの答えはズバリ、自由とは強制がないこと、です。

非常にシンプルな答えです。

正確に言うと、一部の人が他の一部の人によって強制されることが、できるだけ少ない状態ということです。

 

ハイエク曰く、自由とは仲間に囲まれて生活している人間が、できるだけ他人に接近しようと思いながら、完全には接近できない状態です。

それゆえ、自由のための政策とか政策的課題は、強制や有害な影響を最小にする必要がある、と彼は考えます。

 

ハイエクが採用する「自由」の意味は、古代ギリシャの自由人という概念がかなり元になっているようです。

古代ギリシャから受け継いだヨーロッパの人間の考える自由とは、常に人が自分自身の決定と計画にしたがって行動する可能性を意味します。

つまり、他人の意志に服従せざるをえない人の立場と対比されています。

 

彼が考える自由とは、人と人との関係にだけ関わるものです。

そして自由に対する侵害とは、人々による強制だけです。

 

「この意味で「自由」は、人と人との関係にのみ関わることであり、自由に対する侵害は人々による強制だけである。」ハイエク『自由の条件1』

 

このようにハイエクの考える自由は、自然とか人間以外のものとは関係ありません。

他人との関係の中でしか、自由は問題になりません。

これってバリバリ古代ギリシャの価値観ですね。

 

他人の強制があるかどうか

ハイエクの自由は、「他人の強制」という概念と一体です。

彼が定義する「強制」とは、他人の目的に奉仕するように行動を強いられることです。

自分の目的ではなく、他人の目的に無理やり従わされること、それが強制です。

災害とか自然とか物理的な条件は、彼の言う強制ではありません。

 

「「強制」とは、ある人の環境または事情が他人によって支配されていて、より大きな害悪を避けるためにその人が自分自身の首尾一貫した計画に従うのではなくて、他人の目的に奉仕するように行動を強いられることをいう。」ハイエク『自由の条件1』

 

 

目指すものが完全に決まっていない社会が自由な社会

ハイエクは、自由社会の特徴の1つとは、人間の目標が開かれていることだ、と言ってます。

つまり、人間が目指すものとか、目的とかゴールが、完全に決まっていないということです。

 

「これが人間の目指すべき本当の目標だ!」と決めつけずに、人がどんな目的を持つようになるのかが変わることができるということです。

何が善で何が美であるか、ということさえも、変化する可能性がある、とハイエクは言います。

後の世代の人が何を善をみなし、何を美とみなすか、わからないからです。

 

人間の目的を決めつけずに、オープンにしておく、というのは、私自身は大事だと考えています。

もちろん、まったく方向性が決まっていないと、法や秩序も決まらないし、混乱してしまうので、ある程度、人々が共通の目的とか利害を共有することは必要です。

 

しかし、「人間の最終的な目標」とか「「人間の本当の目的」を決めつけることは、価値観のおしつけになってしまうと私は思うのです。

 

この問題は、社会に理念は必要か、というかなり大事な問題につながります。

私は、社会の法や秩序が必要である以上、ある程度の理念は必要であり、一方で完全には決めない、というスタンスがいいと考えてます。

 

ちなみに、社会に理念が必要か、という問題については、ミシェル・。フーコーとノーム・チョムスキーが、議論している動画がYoutubeにあります。

↓この動画です。

フーコーとチョムスキー ~人間本性について~(日本語字幕)1/2 - YouTube

私もこの動画を見てかなり影響を受けました。

 

自由と責任は一体のもの

ハイエクが定義する自由は、個人が選択の機会と負担の両方を持つことを意味するだけではありません。

自由とは、個人が自分の行動の結果を引き受けなければならない、と彼は定義します。

そして自由とは、自分の行動の結果に対して、賞賛と非難を受け入れることです。

 

つまり、自分の行動に責任を持つことが、自由です。

なので、ハイエクが定義する自由という概念は、責任という概念と不可分です。

 

彼が考える自由な社会がちゃんと機能して、続いていくためには、その社会のメンバーたちが、自分の行動の結果をの責任を引き受ける必要があるのです。

 

ハイエクの考える自由は、個人が他人に強制されにくいと同時に、自らに責任を持つ必要があるものなんですね。

 

まとめ

 ・自由とは他人に強制されないこと。

・強制とは、他人の目的に服従すること。

・自由な社会は、人間の目標をオープンにする。

・自由と責任は不可分である。

 

参考文献

ハイエク『自由の条件1自由の価値』、気賀健三・古賀勝次郎訳、春秋社、1986年