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田中たかあきブログ

当たり前のことや基本をしっかりやることを大切にしてます。

信用と負債、銀行が人を豊かにした

こんにちは、田中です。

 お金の進化が人を豊かにした、という話です。

 

歴史学者のニーアル・ファーガソンの『マネーの進化史』によれば、お金の進化は、人類の進化のために必要不可欠でした。

 

金融システムが進歩したから、多くの人たちが豊かな物質文明を楽しめるようになった。

相手を信用してお金を貸し借りする仕組みの改善も、豊かな文明のために必要なものでした。

 

銀行や債券市場が生まれたことによって、イタリアのルネサンスの土台になった。

20世紀にアメリカが強くなってきた理由の1つは、保険や抵当権、住宅ローン金融や消費者の信用取引(例えばカード決済)が普及していたことだと、ファーガソンは言います。

 

彼によれば、世界史に残るような大変動が起こったときには、その底流には必ず金融の秘密が隠されているそうです。

 

例えば、ルネサンス期のイタリアで美術や建築の市場でブームが沸き起こったとき、メディチ家などの大手の金融業者は、東洋とビジネスをしてたくさん稼ぎました。

 

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お金の便利さに気づいたヨーロッパ

お金は使われなかったインカ帝国などとは違い、 ヨーロッパでは、物を売ったり買ったりするときの仲介をしてくれる手段だと認識されていました。

お金は、物々交換よりも効率がいいですよね。

 

数字を使って値段という価値を定め、計算も簡単。

価値がある程度変わらないから、長期間使えるし、運ぶのも便利。

また、お金は軽いし壊れにくいし、交換しやすい。

だから、信頼も高い。

 

メリットが多いから、お金はずっと使われ続けました。

例えば、金や銀や同は、お金として使いやすいので、古代から数千年使われ続けたみたいです。

 

スペインのたった1つの間違い

しかし、お金には、注意すべきこともあります。

それは、お金の価値は絶対的なものではないこと。

 

例えば、スペインはある間違いをした、とファーガソンは書いています。

それは、貴金属の価値が絶対的なものだと信じたこと

 

中世のスペインは、戦争のために必要な費用をゲットするため、銀を掘りまくったんです。

しかし、銀をたくさん掘りまくったら、銀の価値が落ちてしまったのです。

 

つまり、他の商品を買うときに、銀の価値が下がってしまい、購買力(ものを買う力)が落ちた。

銀の量が増えたからでしょう。

今でいうインフレってやつです。

 

そのあと、イギリスのデータによれば、中世のヨーロッパでは価格革命が起こったらしく、食品の価格が上がったようです。

 

スペインでは銀がたくさん余って、パンの値段が鬼のように上がった。

 資源をたくさんとりすぎて、その資源の価値が下がってしまう。

 

石油をたくさんとりすぎて石油が安くなったアラブ諸国に似てます。

 

ファーガソンいわく、お金を払いたくなる物があって、その物に人が喜んでお金を払うときに、はじめてお金は価値を持つ。

だから、お金の供給が増えただけでは、社会は豊かにならない。

 

お金の主な役割

貴金属だけでなく、粘土や紙もお金として使われるようになりました。

粘土と紙は、本来は価値を持たないけど、支払いに使えるという約束によって、お金として使うことができます。

 

ファーガソンによれば、お金の主な役割は、貸す人と借りる人の関係を取り持つことです。

 

例えば、古代メソポタミアでは粘土板に、借りた商品に対する支払いについての文章が書いてあり、返済額と時期が書かれています。

 

これらを見てわかることは、借りる人が返済を約束するという信頼性が、貸し借りという行為を支えていることです。

 

ちなみに、英語の「credit(信用)」の語源は、ラテン語の「credo(私は信じる)」に由来するそうです。

 

銀行がビジネスをイノベーションした

その後、イタリアのメディチ家によって銀行業が発展しました。

そして銀行制度は、数世紀の間、ビジネスの発展を支えました。

 

銀行は、預けてあるお金を、他の誰かに貸します。

貸すといっても、実際にお金を渡すんではなく、紙に数字を書くだけ。

 

商人は、自分の口座を持って、基軸通貨に直した金額を、書いてもらえました。

小切手なども使えます。

商人たちは、現金決済をしないで商取引をできるようになったので超便利です。

 

 銀行は、預けてあるお金を他の人に貸すので、預けた人が一斉にお金を引き出したらアウトです。

実際は、その当時、そんな取りつけ騒ぎの心配はなかったんですが。

 

ファーガソンによれば、現代のお金は、地中から掘り出した貴金属をコインにしたものではない

 

今のお金は、銀行によって作られた、ある種の負債(預けてあるお金)です。

 信用は、銀行の資産(ローン)です。

 

お金の多くは中央銀行の金庫にあります。

通貨のほとんどは、預金通帳などに書いてある目に見えないお金の裏付けをうけた、紙幣(代わりの貨幣)です。

 

お金を貸している人(お金を銀行に預けている人)と、お金を借りる人(銀行から借りる人)の関係を仲介するのが銀行です。

いかにうまく操作するかが大切です。

 

ちなみに、スペインはその後銀行制度をつくるのに失敗し、お金とは信用であることをうまく活用できませんでした。

 

信用と負債が人を豊かにした

ファーガソンいわく、信用や負債は、建築に不可欠なレンガのような、必須素材です。

貧しさの原因は、金融機関の不備であることが多い、と彼は言います。

 

銀行が存在するからではなく、銀行が不在であるために貧困が増す

例えば、効率的な信用貸しのネットワークがあれば、高利貸しを使わずに、安全にお金を借りられます。

また、信頼できる銀行にお金を預ける人が集まれば、その預けたお金が、他の人によって上手に運用されます。

 

それゆえ、お金が進化するためには、銀行が進化することが必須だ、とファーガソンは言います。

 

信用という情報空間のレバレッジが、人を豊かにしてくれるのです。

 

参考文献:ニーアル・ファーガソン『マネーの進化史』、仙名紀 訳、早川書房、2009年