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田中たかあきブログ

当たり前のことや基本をしっかりやることを大切にしてます。

カルヴァンの予定説が絶対王権の敵だったワケ

こんにちは、田中です。

 

ヨーロッパで生まれた絶対王権では、国王は法を自由に変更し、人々の財産や命を自由に扱うことができました。

そんな絶大な権力を持つ国王に対して、ローマ教会も大貴族も逆らえない。

このときの国王は、まさに怪物リヴァイアサンのように無敵モードだったんです。

 

しかし、そんな国王に、新しい敵が生まれます

その敵が現れたことが、民主主義を生み出すことになった、と小室直樹は言います。

 

その敵とは、キリスト教です。

怪物リヴァイアサンのように無敵なパワーをもつ絶対王権を、近代デモクラシーの国家に変えたのが、キリスト教でした。

聖書と十字架が、怪物リヴァイアサンを縛ったのです。

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 (画像引用:富鰹義博『HUNTER×HUNTER』)

 

「え?王の前にはローマ法王も逆らえなかったんじゃないのかよ?」

 

たしかにそうです。

ヘンリー8世のエピソードを見ればわかるように、当時のローマ教会は権威がなかった。

 

例えば、11世紀~12世紀の間おこなわれた叙任権闘争で、ローマ法王はドイツ皇帝と対立した。

また、14世紀にローマ法王は南フランスのアビニョンで幽閉されてる(教皇のバビロン捕囚)。

さらには、教会が分裂して、ローマとアビニョンに2人の法王が存在するという異常事態が起こった。

 

 しかし、絶対王権が怪物リヴァイアサンのように強くなってきた時代に、ヨーロッパには大きな変化が起こってきたのです。

その変化が、宗教改革です。

 

宗教改革のきっかけになるキリスト教のおこない

宗教改革が起こった事情は次のようなものです。

 

まず、 14世紀のころ、教会はお金を稼ぐために、「善い行いを積まなくても、お金を積めば救われる」と言って、免罪符を信者に売っていました。

また、ふだん教会は信者に「お金を貸して利子をとってはいけない」と教えているけれど、教会もお金を貸す事業をやるようになってました。

さらに、聖職者の地位を売る「売官」という行為もよくありました。

 

そして、小室によれば、本来は独身でなければならない法王が、コッソリと女性と関係を持ち子どもをつくることもありました。

くわえて、法王がその子どもを自分の甥(おい)であると嘘をついて、その子どもを教会の大事な役職にする、ということもあったそうです。

 

 実際は、その甥と見なされてる人が法王の隠し子であることは、みんな知ってる。

ちなみにこれが由来で、血縁者をひいきする情実主義のことを、英語ではネポティズムと言うようになったそうです。

ネポとは、ラテン語で甥のことです。

 

教会を批判したあの人物

以上のような教会の行いを堕落だと批判したある人物が、宗教改革を起こしていきます。

その人物とは、マルティン・ルターです。

 

1517年に、ルターは”95条の提題”という文書を公表してます。

この文書で彼は、マインツの大司教が信者に売っている免罪符を批判し、法王自身が神の教えを踏みにじってると書いた。

 

このルターの批判にたいして、教会も怒りました。

そして1520年に、教会はルターに文書の撤回を求めます。

 

また、ドイツ皇帝のカール5世も、ルターの文書を問題視して、皇帝はルターを帝国議会に呼んだんですけど、それでもルターは自分の考えを改めない。

 

その結果、ルターは帝国から追い出されました。

ルターは、彼を支持するザクセン選帝侯から保護されました。

 

しかしこの後、ルターの教えはドイツだけでなくヨーロッパ各地に広がります。

そして、ルターの教えを信じる人たちはやがてプロテステント(新教徒)と呼ばれるようになったんです。

 

 とはいえ、ルターの信仰は絶対王権と全面対決するほどの力はなかった。

たしかにローマ教会は彼の信仰を危険思想だと見なしていたけど、まだ弱かった。

ある1人の天才が現れたことによって、宗教改革が西洋の歴史や世界史を変えるパワーを持った、と小室直樹は言っています。

 

世界を変えたジャン・カルヴァン

小室によれば、その世界史を変えた天才とは、ジャン・カルヴァンです。

 

ルターが生まれた26年後の1509年に、カルヴァンはフランスに生まれます。

彼は子どものときから頭がよく、12歳のときに教会から奨学金をもらって、パリ大学などで法学と神学を勉強しました。

 

カルヴァンは、ルターから生まれたプロテスタンティズムの思想をさらにまとめて、一大思想を作りました。

で、彼のつくった思想が話題になって広まって、ついに絶対王権をひっくりかえし、民主主義を生みだすことになったらしいです。

 

じゃあ、カルヴァンの思想はいったいどんな考えだったか。

 

カルヴァンの思想

カルヴァンは、キリスト教の唯一にして絶対の聖典である聖書を、徹底的に研究します。

そして彼は、聖書に書かれてあることを手がかりに考え、1つの結論を出します。

 

その結論は、予定説という考えです。

 

予定説こそが、絶対王権をたおし、民主主義を生みだすことになった、と小室直樹は言います。

世界史を変えた思想が、予定説なんですね。

 

小室によれば、カルヴァンの予定説という思想は、単に民主主義を生みだすだけの思想ではない。

それだけでなく、予定説を信じれば、その人は心も外見も変化し、まるほど生まれ変わる

 

予定説による内面の効果と外面の効果

まず、予定説の内面の効果は何か。

予定説の内面の効果、それは、世間のどんなものも怖くなくなることです。

 予定説を信じれば、どんなことが起きても、どんな敵が現れてもへっちゃら。

 

そして、予定説の外面の効果は何か。

予定説の外面の効果、それは、よく働くようになり、お金もどんどん稼げる、ということです。

予定説を信じれば、よく働き者になり、お金もどんどん稼げるようになる、と小室直樹は言います。

 

小室によれば、予定説は、キリスト教の奥義中の奥義

これをマスターしたら、立派なキリスト教通、宗教通になれる、らしい。

 

思想の力はすごい。

 

参考文献:小室直樹『痛快!憲法学』、集英社、2002年