田中たかあきブログ

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不平等が必要である理由(ハイエク)

「不平等は必要である」

ハイエクはそう考えました。

その理由は、不平等によって社会は進歩するからです。

 

ハイエクは、進歩は不平等を生むけれども、経済の前進は、不平等なしには不可能だと考えているようです。

なぜなら、進歩によって得られる利益を受け取れるのには、時間差があるからです。

 

ハイエクは、社会の進歩が大多数の人々に利益を与えるのは、ある程度時間がたってからだと言います。

 

つまり、進歩は、最初は一部の人にしか利益を与えない、ということです。

社会のの進歩によって生まれる利益は、最初は一部の人だけ得ることができて、やがて時間がたって、大多数の人たちもその利益を得られるようになる、ということです。

 

例えば、もし比較的に豊かな国で、最近まで物理的に十分な量を生産できなかった施設や利益を、現在多くの人たちが使えるのは、大部分、それらが最初は少数の人たちのために作られたためだ、とハイエクは言います。

 

快適な家庭や、運送や通信の手段の利益は、初めは限られた量しか生産できませんでした。

 

新しい目標とか進歩のための努力は、多数の人々が望むよりもずっと前に、始まっているだろう、と彼は言います。

 

みんな平等にしようとすると、結局は進歩のない社会になり、大多数の人々にとって不利益になる、という皮肉な結果になってしまうというのです。

 

たしかに、例えば古代ギリシャでは、市民は労働から解放されたからこそ、学問や政治や文化が発達しました。

一部の人が働くことから解放されたからこそ、数学をはじめとする様々な学問が発展し、その知識が現代技術などに利用されて、現代人は快適な生活を得ています。

 

みんなで平等に働こうとすれば、みんな労働で忙しくて時間がなくて、ゆっくり考えることもできません。

そうなれば、想像力や思考を使うことができず、新しいものを生み出すことはできません。

 

例えば、ピタゴラスの定理は、現代の生活で必須の法則です。

コンピューターの世界では、ライプニッツが発明した2進数が必要です。

 

その意味では、たしかに不平等によって社会全体に利益がもたらされていると言えます。

単に何事も平等にすればいいわけではないかもしれません。

 

参考文献

ハイエク『自由の条件1自由の価値』、気賀健三・古賀勝次郎訳、春秋社、1986年